完熟の甘い果実を食べ尽くす!イチジクの育て方をご紹介
2022.08.30
街を歩いていると、夏から秋にかけて実がついているのを見かけるようになるイチジク。垣根などに絡ませたりして育てているご家庭も多いので、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。今回はイチジクについて育て方や食べ方をご紹介します。実は、あまり植物を育てたことのない方にもおすすめの、とても育てやすい果樹なのです。
イチジクってどんな植物?どんな花が咲くの?
イチジクはクワ科イチジク属の果樹です。原産値はアラビア半島南部から地中海沿岸地方で、樹高2~5mになる落葉低木の果樹です。日本でも育てやすく、家庭菜園向きです。ただ、耐寒性がやや弱いので、関東地方北部より北の地域では寒さに強い品種を選ぶなど工夫が必要です。現在は200種類以上の品種があるので、住んでいる地域の条件にあった品種を選ぶと育てやすいでしょう。
イチジクの病虫害について
病虫害の被害にも比較的強い果樹ですが、カミキリムシは天敵です。カミキリムシはイチジクの幹に穴を開けて入り込み木を枯らしてしまうので、見つけたらすぐに駆除しましょう。カミキリムシが入り込んでいる場合、幹に穴が開いていて回りに木くずが落ちているので、その穴の中に駆除剤を流し込みます。
イチジクの種類
イチジクは種類としては大きく分けて3つあります。秋にしか実がとれない秋果専用品種、夏にしか実がとれない夏果専用品種、そして夏から秋にかけて実がとれる兼用品種です。実は収穫が始まると一気には熟さないので、毎日少しずつ収穫して楽しむことができます。その果実は独特の柔らかく熟した甘みと食感が魅力です。果実は生色も出来ますが、ジャムなどに加工しても美味しく食べることができます。
イチジクの花
イチジクは漢字で無花果と書きますが、実際は花がないのではなく、実の中に花が隠れている、という珍しい特徴があります。イチジクの原種はイチジクコバチという小さなハチが実の中に入り込み受粉を助ける役割をしていました。そのため、花は外に咲かず、イチジクコバチのために実の中に花をつけるという進化をしてきたものと思われます。現在、日本で流通している品種は受粉をしなくても実をつける単為結果になっているため、実の中にハチが入り込むということはありません。
イチジクの育て方。初心者向けって本当?
イチジクは病害虫の被害も少なく丈夫なので、植物をあまり育てたことがない方でも育てやすい果樹です。いくつかのポイントを押さえれば、比較的手入れも多くはありません。基本的には日当たりがよく、風あたりが少ない場所で育てましょう。イチジクは葉が大きいため風が強く当たると葉が破れたり、折れたりしてしまいます。気温は15度以上になると成長期にはいります。果実は22~27度で熟してくるのが一般的です。38度以上になると成長が鈍り、実は皮が固くなってしまいます。
植え付け・植え替え
イチジクは水はけと保水性がよい、ややアルカリ性の土を好みます。鉢で栽培する場合は、赤玉土・鹿沼土・腐葉土を3:3:3,そして砂を1割混ぜて使用します。地植えの場合は、花や野菜用の培養土と赤玉土を7:3の割合で混ぜて使用すると良いでしょう。植え付け・植え替えは、12~3月の休眠時に行います。植え付ける根の2倍程度の穴を掘り、根を少しほぐしながら埋め戻すようにします。苗木を植えたら、支柱を立てたっぷりと水やりをします。 なお、ブルーベリーは酸性土壌を好むため、近くに植えるのは適しません。
肥料・水やり
イチジクの肥料は11~1月の休眠時に寒肥として有機肥料や油かすを施します。また6~9月の成長期にも堆肥などの有機肥料を施します。その際は根元ではなく、伸びた枝の先端あたりの地面に埋めるように与えます。壌は少し乾燥気味の方が成長しますが、完全な水切れには弱いです。土が乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。真夏など乾燥しやすい時期は、マルチングなどで乾燥を防ぐと効果的です。
収穫
収穫の適期は夏と秋の2回です。品種によって収穫できる時期が違うことも確認した上で、育てる品種を決めましょう。収穫の目安は果実の先端が割れてきた時です。なお、果実の成熟期には雨にあたると実が破裂してしまうことがあります。寒冷紗をかけるなど、雨が直接当たらない工夫が必要です。また鳥に狙われやすい果実でもあるので、鳥への対策も必要になります。
剪定
剪定の時期は冬の休眠期です。植え付け1年目の株は主軸を2本残して、30cmほどまで短く切り込みます。2年目からは、完全に実がつかなくなってから剪定するようにします。冬に剪定をすることで、株に負担をかけず剪定ができ、春への生長にむけて準備をすることができるからです。
イチジクを食べ尽くす!生でもジャムでも美味しい果実
イチジクは生で食べることができます。生で食べる場合、皮には細かい毛がありますが、塩で表面を少しこすって洗えば、実は皮ごと食べることができます。皮ごとはすこし抵抗がある方は皮を剥いて食べましょう。収穫したイチジクはとても傷みやすいので、1個ずつラップなどでくるんで冷蔵庫で保存し、2~3日以内には消費するようにしましょう。
イチジクの剥き方
まず、イチジクのへたを曲がっているのと反対の方向に折ります。へたをゆっくりひっぱり、皮を剥いていきます。皮に果肉がついてこないようにゆっくり引っ張ってください。少し硬い実の場合は剥きにくいことがあるので、その場合はへたの方から包丁で剥きます。最後におしり部分に残った皮が気になる場合は包丁でそぐように取り除きます。
イチジクジャムの作り方
用意する物は、収穫した実と30~35%のグラニュー糖、4%ほどのレモン果汁と保存瓶です。保存瓶は煮沸消毒をして準備をします。イチジクは皮をむいてさいの目に切ります。厚手の鍋にイチジク、グラニュー糖を半分程度、レモン果汁を入れて火にかけます。沸騰したらアクを丁寧にとり、残りのグラニュー糖を加えます。そして中火で15~20分、かき混ぜながら煮詰め、とろみがついたら火を止めます。熱いうちに消毒した保存瓶で移してふたを軽く閉めます。1分程度経ったら、ふたを軽く緩めて膨張した空気を出し、すぐにギュッと固く閉めます。そうすることで、膨張した空気を外に出す脱気ができ、中が密封状態になるため長期保存が可能になります。ジャムを作る時のポイントはアクを丁寧に取り除くこと、焦げないようにかき混ぜながら煮詰めることです。
HB-101で補う、美味しい実をつける活力
イチジクは毎日少しずつ、長く収穫ができる果物です。収穫時期が長いということは、それだけ収穫時期に栄養を使っています。イチジクの肥料は休眠期の寒肥と成長期の堆肥がメインですが、さらに実なりを良くするために、HB-101がおすすめです。収穫前の半年間、月に2回程度でいいので、1000倍~10万倍に薄めたHB-101を土にかけます。それだけでぐっと実のつきが良くなり、美味しい実ができるようになります。また、収穫後は月に1回、同じように土にかけるだけで、次回の実への準備ができます。
まとめ
今回は、完熟の味わいを楽しめるイチジクについてご紹介しました。見た目で苦手意識がある方もいるかもしれませんが、一度味わうと、その柔らかく熟した甘さがやみつきになる果物です。育てやすいので、初心者の方にもおすすめの家庭向きの果樹です。生で食べても、焼いたり煮たりして食べても美味しく、またジャムなどに加工しても長期で楽しめるイチジク。ぜひお庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。