藤 種まきからの楽しみ方
2024.07.02
みなさんは「藤(フジ)」という植物をご存知でしょうか? 藤というのは毎年4月から5月上旬頃にかけて美しい赤紫色の花を咲かせ、日本でも古くから楽しまれているツル性の植物です。 某大人気アニメで「藤の花」が大々的に取り上げられていたのは記憶に新しいですね。 この藤という植物、ホームセンターではポットに入った苗木として販売されていることが多いのですが、実は種から挑戦することもできます。 小さな種から芽が出て花を咲かせる、考えただけでもワクワクしますよね。 また、種から育てると愛着も一段と湧いてきます。 ここでは、藤を種から育てる方法を紹介いたします。
藤(フジ)とは
まずは藤(フジ)の基本情報をご紹介いたします。
藤とは、マメ科フジ属に類するツル性の落葉樹です。
とても美しい花を咲かせる花木で、古くは万葉集にもその美しさが謳われており、日本を代表する植物であるといえるでしょう。
藤は日本の固有種であり、海外では野生の姿を見ることはできません。しかし、日本国内であれば本州から九州に広く分布しているため、みなさんも一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか。
4月から5月上旬が花の見頃で、群生した藤は「藤棚」と呼ばれる圧巻の美しさを誇ります。
そんな藤の基本情報を下記にまとめました。
後に解説する本校のメインテーマである「藤の種まき」解説のベースとなりますので、ぜひチェックしてみてください。
和名:藤(フジ またはフヂ)
英名:Japanese wisteria
学名:Wisteria floribunda
分類:マメ目マメ科フジ属
生息域:日本全域(本州、九州)
生息環境:山間部
藤の生育環境
藤の生育環境(自生地)は一部エリアを除く日本全域の山林です。
藤は比較的日当たりの良い場所を好みますので、ご家庭で栽培する際にも日光の確保は重要であると言えるでしょう。
また、日本の野生下で自生しているということは、熱帯植物などと比較し、ご家庭での栽培においても温度管理は比較的シビアではないとも考えられます。
野生の藤の生育環境を踏まえ、ご家庭で藤を栽培するのに適した環境はどのようなものでしょうか。
下記に整理いたしました。
① 種まきから発根までは風通しの良い窓際など、直射日光が当たらない場所で管理し、発根させる。この際、カーテン越しに柔らかい日差しが差し込む(半日陰※1)とベストです。
② 発根しても引き続き半日陰で管理し成長させる。
③ 葉数が増えて植え替えが必要になったタイミングで屋外管理へ切り替える。
④ さらに大きくなったら、日当たりの良い庭での地植えや大きめの鉢で園芸を楽しむ。
※1 半日陰の基準は、照明なしでも読書ができる程度とお考えください。
藤を種から育てるコツ
藤の種まき
まず、種まきの時期は1月から2月の間に行うのがベターと言われています。
植物は温かくなるにつれて成長のペースが上がるため、「寒いうちに準備をする」と考えていただくとイメージしやすいでしょう。
種をまくためのポット(鉢)は、いわゆるビニールポットが定番です。
しかし、最近では種まきに使いやすいよう設計された「種まき専用ボット」も販売されているため、ご自身にとって使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
このポットを選ぶ際に、注意すべきポイントは3つです。
① 水捌けの良い構造のもの
② 大きすぎないもの
③ 不安定でないもの
ポット選びの注意点について解説をいたします。
種は芽を出すために水が必要ですが、ポット内に水が滞留し続けると空気の循環が悪くなり、タネが腐ってしまう可能性があります。
そのため、鉢底(ポットの底面)に穴が空いているものを選びましょう。底面から側面下部にかけてスリットが入ったものもオススメです。
また、類似した商品で「鉢カバー」というものがあります。これは、鉢植えの植物を飾る際に使用するカバーであり、カラフルで可愛らしいデザインのものも多いのですが、底面に穴が空いていないため選ばないようにしましょう。
尚、鉢カバーの底面に穴をあけるやり方もありますが、本稿の趣旨ではないため割愛いたします。
大きすぎないものを推奨する理由は、水捌けの良いものを選ぶ理由と概ね同じです。
大きなポットはその分土をたくさん入れることができます。
一見、大きなポットを選べば苗が大きくなっても使えて良さそうそうに見えますが、これは落とし穴です。
土をたくさん入れられるということは、その分ポット内に水をたくさん保持できるということです。
逆にいうと、小さな苗が吸収できる水の量に対して水の量が多すぎると言えます。
結果、水が滞留し、空気の循環が悪くなり最悪の場合根が腐って枯れてしまいます。
この現象を「根腐れ」と言いますのでぜひ覚えておいてください。
活力剤
藤を苗から育てるコツとして、もう一つ重要な要素があります。
それは「活力剤」です。
「活力剤」という言葉は「肥料」に比べ知名度は低いかもしれませんが、昨今では植物の種蒔きや胞子培養をする際のマストアイテムとなりつつあると言えるものです。
また、活力剤と肥料は混同されがちですが厳密には立ち位置が違います。
細かい成分の違いなどは商品毎に異なりますので割愛いたしますが、イメージの話をするならば肥料を「植物の食事」とすると活力剤は「植物の点滴」といったところでしょうか。
わかりやすい違いとして、肥料は規定量を厳密に守る必要がある※1のに対して、活力剤は比較的おおらかに使用できます。
特に植物栽培の初心者さんや、使い方がよくわからない方には心強い味方となってくれるでしょう。
使い方は簡単で、商品パッケージ裏側に書いてある説明書き通りに与えるだけです。
活力剤を与えていない場合と比べ、明らかに生育速度に違いがでます。※2
活力剤を与えるグループと活力剤を与えないグループに分けて管理し、成長速度の違いを検証してみても面白いでしょう。
参考までに私が使用している活力剤のリンクを下記に貼り付けておきます。
ぜひご参照くださいませ。
※1肥料は規定量を超えて与えると「肥料焼け」といって根にダメージを与えてしまう場合があります。
※2生育環境の差も、生育速度には影響があります。
藤の種の入手先
藤の種は比較的容易に入手できます。
ホームセンターや園芸店でも販売されておりますし、インターネットでの購入も可能です。
インターネット購入の注意点としては、個人売買サイトを利用する場合に藤の種以外の異物が混ざっている可能性や鮮度(状態)が悪い可能性があります。
種の鮮度が悪いと発根する確率が大幅に下がってしまうので注意が必要です。
心配であれば、各企業が販売しているパッケージ化されたものを選ぶとリスクが低いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、藤の種蒔きについてご紹介いたしました。
一見難しそうに見える種蒔きですが、コツさえわかってしまえば誰でも楽しむことができます。
藤の種は身近なお店で購入することができますので、ぜひ挑戦してみてください。