カキツバタとハナショウブと似ている?あやめの育て方
2023.04.18
日本では古くから親しまれてきたあやめ。よく似たカキツバタやハナショウブと違い、湿地でなく地植えで育てられるのが魅力の一つ。庭に植えると、初夏に美しい紫色の花を咲かせます。今回は、アヤメの育て方についてご紹介します。
あやめの特徴
あやめは外側の花弁が大きく垂れ下がり、内側の花弁が3枚直立しているのが特徴で、遠くからでも見分けがつくほどです。花の色は通常紫か白ですが、外側の花びらには網目状の模様があり、基部は黄色であることが多いです。あやめの品種の一つであるジャーマンアイリスは、紫や白など色の幅が広く、個々の外側の花弁と内側の花弁で色が異なることもあることで知られています。また、花びらの形は大きく、膨らみがあり、フリル状になっていることが多いです。また、あやめの変種としてシャガがあり、茎が分かれているため、一株にいくつもの小さな花を咲かせるのが特徴です。
カキツバタとハナショウブの見分け方
あやめとカキツバタは似ていて優劣をつけるのが難しいという意味の「いずれ菖蒲か杜若」という慣用句があります。この言葉は、あやめとかきつばたは似ているため、優劣をつけるのが難しいという意味です。確かに、あやめとカキツバタとハナショウブは、一見すると同じ花のように見えるほどよく似ています。
見分けるには、それぞれの花の特徴をよく観察する必要があるでしょう。まず、見分ける方法としては、生息地を確認することです。陸地に生えるものはあやめ、川や池などの水辺、あるいは湿地の縁に生えるものはカキツバタやハナショウブです。
また、花びらの形や大きさでも見分けることができます。カキツバタは花びらが垂れ下がり、あやめは花びらが尖ってしっかりしており、ハナショウブは花びらが細くて薄い印象があります。さらに、花の色もそれぞれ異なります。
例えば、カキツバタは青、紫、紫の色合いが一般的で、花菖蒲は白、黄、ピンクなどの色が見られます。
あやめを育てる上での注意点
ここからはあやめを育てる上での注意点について解説していきます。
土
水はけがよく、風通しのよい土でよく育ちます。鉢植えの場合は、赤玉土や腐葉土、市販の花壇用の土などを使用します。庭植えの場合は、上層の土と下層の土を入れ替えてよく耕し、空気を含ませ、必要に応じて腐葉土や山砂を混ぜて土づくりをします。
さらに、植物の根が必要な量の酸素を取り込めるように、時々水をやり、土から水を抜くと、結果的に植物の生育に役立ちます。さらに、より良い結果を得るために、植え付け前に有機肥料を加えることもできます。
定期的な剪定は、鉢植えの美しさを引き立てるとともに、枯れたり腐ったりした葉や枝を取り除くために重要です。
水やり
鉢植えの場合は、1日1回、表土が乾いたら水やりをすることで、鉢植えにいつも十分な水分を与え、健康に保つことができます。屋外の植物や庭の植物は、特に土に気を配りましょう。鉢植えは多少乾燥しても大丈夫ですが、屋外の植物は定期的に水やりをし、土が湿っている状態でないと育ちません。
土の中に指を1~2センチ入れて、湿り気を感じながら、土の湿り気を観察してください。土が完全に乾いていたら、潅水作業を開始する時期です。水のやりすぎは、植物の生育に悪影響を与え、根腐れを起こす可能性もあるので、なるべく避けましょう。水と土の比率は、最適なバランスに保つことが大切です。
肥料
3月と9月に化成肥料を控えめに与えます。肥料の量が多いと根傷みや腐敗の原因になるので、特に質の良い肥料を選び、適正な施肥量を意識することが大切です。特に注意すべきは施肥のタイミングで、一般的には気温の低い早朝や夕方に施肥します。
暑い時期に肥料を与える場合は、暑さと乾燥で肥料が葉や根を焼いてしまうので、定期的に水やりをする準備をしておきましょう。肥料の施用量がわからない場合は、多めに与えるとダメージが大きくなり、植物に栄養がうまく吸収されない可能性があるので、慎重に考えて必要量より少なめにするとよいでしょう。
病害虫
ズイムシやニカメイチュウが発生しやすい害虫と言われています。予防するには、枯れた葉や枯れた茎を切り落とし、殺虫剤を散布します。ニカメイチュウは葉の上下どちらにも届くので、忘れずに散布することが大切です。
また、卵を見つけたら、感染力が強いので、摘み取った後、処分すること。さらに、虫は湿気の多いところに集まることが多いので、雑草やゴミを取り除き、庭の衛生管理を徹底することが大切です。さらに、虫害のリスクを最小限に抑えるために、有機農産物を購入することを強くお勧めします。
最後に、害虫が庭に足場を築かないように、害虫駆除などを行い、警戒を怠らないことも忘れてはいけません。
あやめの育て方
ここではあやめの育て方について解説していきます。
選び方
しっかりとした厚みのある、色の濃い葉を選びましょう。葉が不必要に長くなく、虫がついていないことを確認する。新鮮な葉はふっくらとしていて、触るとひんやりとしています。葉の縁に穴が開いていないか、虫がいるような傷がないかを確認します。
植え付け
繁殖力が強いので、庭で育てるのが一般的ですが、深鉢やプランターであれば鉢植えでも育てられます。鉢には1株、プランターには3株植えます。根の頭が地上に出るくらいに土をかぶせます。
水はけのよい培養土を使用し、軽くマルチングをして土が均一に湿るようにします。若い苗は、苗を成功させるため、また生存に必要な十分な水分を確保するために、多めに水を与えてください。最良の結果を得るために、必ず定期的に土壌の水分を確認し、必要に応じて苗に水を与えてください。
さらに、苗に十分な光が当たるようにしてください。日照不足になると、植物全体の生育が悪くなり、実も理想的とは言えなくなります。最良の結果を得るには、1日6時間以上日光に当てる必要があります。
剪定と切戻し
株を傷めないために、花がしぼんだら花びらを取り除き、花が咲き終わったら花茎を切り落とします。花びらを一枚一枚丁寧に摘み取り、茎や残っている蕾を傷つける可能性があり、さらに成熟した花びらは植物の成長に機能的な役割を果たさなくなるので、塊のまま引き抜くことは避けてください。ただし、葉は切り落とさないでください。
葉は、日光を吸収して植物のエネルギーに変えるなど、花の成長に欠かせないものです。すっきりとした美しさを演出するために葉を取り除くことは、植物の花持ちを著しく損ねるのでおすすめできません。また、葉の色が落ちるのを待ってから取り除くと、植物の健康を害する可能性があるので、注意と忍耐を優先して、植物の自然な生育を継続させることが一番です。
植え替えと鉢替え
鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐため、また株分けをするために毎年植え替えてください。植え替えは、植物に必要な栄養分、ミネラル、水をすべて行き渡らせ、根詰まりを防ぐとともに、必要に応じて手や園芸用の鋤を使って株を分けることができるため、多くの利点があります。さらに、過密な状態は植物の生育を妨げるので、結果的に健康で豊かな収穫をもたらすことになります。
庭で栽培する場合は、連作障害を防ぐために2~3年ごとに植え替えます。
株分け・挿し木
あやめは地下に根茎を伸ばすので、株を増やすには株分けが必要です。株分けをするときは、株を引き抜き、病気や虫、余分な土がないかをよく確認します。呼吸を最小限に抑え、根張りをよくするために、既存の葉を半分程度切り落とします。植物を注意深く持ちながら、根茎を切り落とし、鋭いシャベルで分割を行います。鉢植えで育てている植物は、根茎が伸びるスペースを確保するために、おそらく毎年植え替えが必要です。
植物の周りの土を緩め、植物の根元を注意深く持ち、土ごと植え付けた鉢から植物を取り出します。株を分割し、新しい土に植え替え、新しく植えた株は土と水によく触れるようにします。株が大きくなりすぎて鉢に入りきらなくなった場合は、適当な大きさの鉢に移し、水はけをよくし、株が水浸しにならないようにします。
まとめ
紫色の美しい花を咲かせる花菖蒲は、古今和歌集で和歌に詠まれるほど、古くから日本人に愛されてきた花となっています。耐暑性、耐寒性に優れ、初心者でも簡単に栽培できます。花の姿は独特で優雅であり、その美しさからよく利用され、庭に一輪咲いているだけでも、とても安らぎを与えてくれる理由の一つです。皆さんも是非あやめを育ててみてはいかがでしょうか。