家庭菜園の害虫・病気が発生する原因・対策をご紹介。
2019.01.03
家庭菜園での病気や害虫の発生を防ぐためには、予防することが先決であり、早めの対策が大切です。また、発生する時期や害虫の種類などをあらかじめ知識を得ておくことです。病気の徴候や害虫を見つけたら被害が広がる前に早めの対策をとり、新鮮で丈夫な野菜を収穫できる様にしましょう。
家庭菜園の環境・病気や害虫への対策
家庭菜園で野菜を栽培するのに一番に大切な事は土壌の整備です。プランターを利用する場合は市販の培養土の利用が可能ですが、畑での場合は、土を良く耕して堆肥や石灰などを漉き込んで保水力があって通気性も良い、また水捌けの良い土壌にしておきます。
同じ作物を続けて栽培する、いわゆる連作は避けましょう。土壌病害といい、植物が分泌する物質は同じ科と似たものを分泌する為に、連作するといつも同じ偏った微生物の種類が集まって、特定された病原菌のみが増えてしまい病気になりやすくなります。また、栽培する野菜には種類によって必要とする養分が異なります。全部の野菜に限定する訳ではありませんが、同じ作物を連作すると土壌の特定の養分が過剰気味になってしまったり、また、不足がちになったりしてしまう生理障害が起き易くなり、野菜の病害虫に対する抵抗力が低下して被害を受けやすくなってしまいます。
いつも同じ場所で同じ作物を作り続けると畑が疲れて荒れた地になってしまいますから適度に畑を休ませることが必要です。プランターの場合は作物の収穫が終ったら、用土をプランターから出して、日干しをさせると殺菌の効果が生まれるので推奨します。
肥料を与える時は、過剰に施肥するのは止めましょう。野菜の特性を良く見極めて適正な量をバランス良く与える様にしましょう。窒素分の多くなる傾向の有機質肥料は病気を引起す原因となりますので注意が必要です。
家庭菜園で発生する害虫・病気
家庭菜園で野菜などを作ると、いろいろな害虫がたくさん発生して穴だらけにしてしまいますね。何故でしょう? 実は野菜は栄養豊富であるということを虫たちには良く分かっているのです。また、家庭菜園は栄養たっぷりな肥料などを与えられて生育されていますので、必然的に虫たちにとっては取り付きやすい植物なのです。
家庭菜園での害虫の種類と対策
害虫の種類と特徴
発生時期 | 被害状況 | 防除対策 | |
アブラムシ | 主に春から秋 | 作物の葉や茎などに寄生して養分を吸汁し、生育を阻害する害虫。 | 防虫ネットの利用。葉についていたら葉ごと取り除く。野菜用の浸透性殺虫剤を苗を植える際に使用すると効果があります。 |
カイガラムシ | 通年 | 茎や枝などに寄生して養分を吸汁し生育を阻害させる害虫。排泄物によるスス病を誘引する。 | 主にナスやピーマンなどに発生します。野菜専用殺虫剤を使用。少数のうちに歯ブラシなどで擦り落す。苗の移植時に浸透性殺虫剤を使用する。 |
コナガ | 5~6月 8~9月 |
漢字で「小菜蛾」と書く蛾の幼虫。葉脈に沿って葉裏から食害する害虫。アブラナ科の野菜に多く発生する。 | 防虫ネットが効果有り。葉裏などを良く観察して卵を見つけたら葉ごと取り始末する。幼虫は捕殺する。除虫菊成分の薬剤か蝶類用の薬剤を使用。 |
アザミウマ | 4月~10月。主に梅雨明けから8月。 | 多種の野菜や花卉類に被害を与えます。葉にスリップスと称す白い斑点模様や奇形を作り、吸汁して生育を阻害し卵を産み付ける害虫。 | 作物の連作や混作を避け、除草や雑草などもこまめに処理する。防虫ネットの使用。見つけ次第葉や茎ごと袋を被せて捕獲、そのまま枝ごと切り取り処理する。ネオニコチノイド系薬剤の粒剤を使用して株元処理をする。発生したらスピロテトラスト水和剤の散布が有効。 |
コガネムシ | 幼虫:通年成虫:5~8月 | 幼虫時は根を食害。成虫は葉を葉脈だけ残して食害する害虫。 | 防虫ネットの使用。発見次第家庭用殺虫剤などを噴霧する。野菜用浸透性殺虫剤を土中に混ぜ込む。(※成虫が土中に卵を産み付けた可能性があるため) |
アオムシ | 3月~11月 | 蝶の幼虫で野菜の大敵。多種の野菜の葉などを食害して被害を及ぼす害虫。食害の速度が速く、気付くのが遅れると瞬く間に葉が全滅します。 | 防虫ネットの使用。見つけたら捕殺する。成虫が飛び始め、卵を産み付けたと思われる時期と幼虫初期に薬剤散布をする。薬剤は有機リン系など多種あるので、説明文をよく読み購入すると良い。 |
コナジラミ | 4~10月 | ナス科やウリ科などに多く発生する害虫。葉の裏側から吸汁して生育を阻害する。病害を誘引します。 | 防虫ネットの使用。光を嫌う性質があるので、シルバーマルチを根元に敷く方法もあります。野菜用殺虫剤の散布も効果的です。 |
家庭菜園で発生する病気
家庭菜園で病気が発生する要因としては、空気中の細菌やウィルスが根や葉茎に発生した傷などを介して取り込まれ、種々の環境の変化によって増殖して被害をもたらすものです。また、害虫によって感染したり、害虫の排泄物から病気が発生する場合が多くあります。
病気が発生しやすい環境としては、梅雨時など湿度が高い時に発生するカビは繁殖することにより、ウドンコ病やベト病などの病害によって作物が被害を受けてしまいます。ですから、菜園を作る場所は湿気の多い水捌けの悪い場所は避け、風通しの良い、日当たりが良い環境を選び、病気が発生しにくい様にしましょう。
家庭菜園での病気の種類と対処法
発生時期 | 被害状況 | 防除対策 | |
うどんこ病 | 5~7月 9~10月 |
風に運ばれた胞子が植物に寄生し、うどん粉を塗した様な症状が発生する病気。光合成が阻害され、葉から養分を吸収しますので生育不良となります。 | チッソ分の多い肥料を施肥すると発生しやすいので注意。発生初期ならばサプロール乳剤を散布。病気が進むと根治は不可能ですので病害部分を除去して処理します。 |
ベト病 | 3~4月 10~11月 |
カビの一種である糸状菌による病気です。作物の葉に黄色い斑点が現れ、次第に葉全体に広がり褐色の病斑になります。 | 日当たりが悪いのと風通しも悪いと発症しますので、密植を避ける。発生が認められたら早目に病葉を摘み取り処分します。そのまま放置すると翌年の発症の原因となりますので焼却などの処分をします。 |
青枯れ病 | 6~10月 多湿時に発生 |
日中は萎れた状態になり夜になると回復したりを繰り返し、その後萎れたままで枯死してしまう病気。トマト、ナス、ピーマンなどに特に発生する。 | 水捌けの良い土壌を作る。水やりは控え目にし、高温時は敷き藁などをしてマルチングをする。病気の株は早目に抜き取り処分する。 |
さび病 | 4~10月 | ベト病と同様糸状菌による感染で発生する病気です。野菜の葉にサビが浮いた様な斑点が広がり生育を阻害します。 | 初期の状態のうちにマンネブダイセン水和剤を1週おきに2~3回散布すると被害の広がりを防ぎます。病害の株は早目に抜き取り処分します。 |
灰色かび病 | 4~7月 10~11月 |
葉や茎が灰色のカビに覆われてしまい、進行すると葉茎が溶ける様に腐っていく病気。ボトリチス菌が病原菌で、ボトリチス病とも呼ばれます。 | 湿度を好むので水のやり過ぎに注意。風通しの良い場所を選ぶ。予防にはベンレート水和剤などを1週間に1度程度定期的に散布する。 |
萎ちょう病 | 5~10月 | 土中にある糸状菌によって導管部が侵され、葉などが萎れた状態となり、進行すると株全体が萎れ枯死してしまう病気。土壌から根に感染する病気です。茎の中が茶色く変色しています。 | 植え付け前に土壌消毒をしておくと予防の効果があります。病気の発生が確認できたら、株ごと引き抜いて焼却処分をします。 |
ウィルス病 モザイク病 |
通年害虫の発生時期 | 微生物が植物の細胞内に侵入して発症する病気です。種類によって呼び名が変りますが、葉にモザイク状の模様が出るものを「モザイク病」と呼びます。アブラムシなどの害虫によって媒介されます。 | 害虫の駆除を頻繁に行いましょう。発症したら根治するのは困難ですので、株全体を引き抜き処分します。園芸用具から感染することもありますので、消毒殺菌して使用する様にします。薬剤はベンレート水和剤が有効です。 |
菌核病 | 3~11月 | 糸状菌によって葉茎の枝分かれしている部分に発生し、その部分が軟化して、その上部が最初褐色から黒色に変色して枯れてしまう病気。 | 菌は土中に長期間留まり生き続けますので、連作をしてはいけません。また、土を良く天地返しをして菌を深く埋め込んでしまうと予防効果があります。発症初期でしたらベンレート水和剤を定期的に散布します。 |
炭素病 | 春・秋 | 主に葉に発生するのですが、トマトなどは実にも発生します。黒褐色の斑点が次第に大きく広がり淡褐色から灰白色の大きな病斑になり葉先が枯れてしまう病気。 | 風通しの良い場所を選び、枝などが混みあっていたら選定します。発生した部分は早目に切り取り焼却処分します。水やりの際、葉裏などに水の撥ねかえりが掛からない様にします。ジマンダイセン水和剤の定期的散布が有効。 |
軟腐病 | 6~10月 | どの野菜にも発生しますが、主にハクサイ、キャベツなどの結球する野菜に発生する病気。土中の細菌が傷口まどから侵入して、地際の部分が腐り始め異臭を放ちます。 | 高温多湿状態で発生します。水捌けの良い土壌にし、頻繁な水やりは控えましょう。薬剤での治癒は不可能ですので、病気の株は抜き取り焼却処分します。発症初期であればバイオキーパー水和剤の定期的散布が有効です。 |
根コブ病 | 5~10月 | アブラナ科の野菜に主に発生します。土中に潜む病原菌が植物の根に感染し、根全体に大小様々なコブを作り増殖して、進行すると枯死させてしまう病気。 | 水捌けの良い土壌にして、石灰を施して土壌の酸度を中性にしておくと発生を防ぐことができます。土壌消毒剤を種蒔時に使用しておくと有効です。 |
まとめ
家庭菜園を始めようと思ったら、まず何よりも土壌の改善と日当たりの良さ、風通しの良い場所に作物を作りましょう。ジメジメした湿気のある土壌や、雑草などが蔓延って、除草しても処理をせずにそのまま放置などしていませんか? 病害虫はその様な場所が大好きです。菜園を作る前に予防と作る 野菜の特性などを良く知識を得て置く様にしておくことが大切です。