野菜の病気対策 見分け方と治療法
2019.01.05
今や、菜園作りがブームとなっています。野菜などを作る楽しみと収穫できる喜びは大変嬉しいものです。ですが、野菜など自然の環境のなかで病気などを発生させない様にするには至難の技といっても良い知識も必要でしょう。人間も同じですが、病気などは早期発見が大切です。被害が大きくなる前に病気の早期発見と、発生してしまったら治療する方法をご紹介してみますので、ぜひ参考にして下さい。
野菜の病気対策とは!?
野菜がかかってしまう病気には、ウィルス(細菌)が引起す病気と糸状菌(カビ)によって起こる病気があります。ウィルスが原因で起こる病気には萎ちょう病や青かれ病、軟腐(なんぷ)病など様々にありますが、大抵の場合アブラムシなどの害虫によって媒介されて感染してしまいます。
カビが原因で起こる病気は、連作などの障害によって土壌に元々潜んでいる微生物によってその割合が増殖してしまい、病気の原因として発生してしまいます。
野菜の病気対策:病気を発生させない環境
野菜に起こる病気を完全にシャットアウトするには、それこそ無菌室の様な場所で生育させない限り至難の技となるでしょう。ですが環境を整える事によってある程度病気は予防できます。
簡単な事ですが、病気にならない為の対策は、ウィルスやカビなどが付かない様にすれば良い事です。土壌の改良や、野菜自体に抵抗力を高める。病原体が寄り付かない様な環境にすれば発症のリスクを最小限に食い止めることが可能となります。まずは水捌けの良い日当たりが良い場所の確保が病気の対策には重要です。
ウィルス対策としては、害虫が媒介すると前述しました。春先などに発生するアブラムシやカメムシ、コナジラミなど植物の養分を吸汁する害虫が発生する時期は注意しましょう。苗などを植栽する時には防虫ネットを使用したり、浸透性殺虫剤を利用したりすることと、害虫を早目に見つけて捕殺するなどして大量に発生させない様な工夫をすることです。
カビによって発生する病気は、予め予測することは難しい事ですが、土壌を良く耕して通気性を良くしたり、天地変えをおこなってカビなどを深く埋めてしまう方法もあります。また、有機質肥料でチッソ分の多い肥料を施肥するとカビが増えてしまうことがありますので、肥料比率を良く確認して利用する様にして病気を防ぎましょう。
野菜の病気対策:肥料のやり方
人間でも過食の状況であれば病気になってしまいます。植物も同じです。人間でいう腸内菌環境を整えると健全な生活環境となる事ですが、土壌の中の微生物菌も整えることが必要です。カビに抵抗力を発揮する微生物との絶妙なバランスがうまく取れていれば、有害なカビの増殖を妨げてくれます。その為には過剰な肥料の施肥や農薬などの使用は最低限にします。
野菜が病気になってしまった時の薬剤の使用法
野菜が病気になるのを防ぐ為には、薬剤は病害の発生を防ぐ意味での土壌改良剤などの使用をおすすめします。病害が初期のうちであれば薬剤の使用によってある程度進行を止めることが可能です。但し、病気が気付かないうちに広がってしまった場合の薬剤散布は焼石に水で防ぐことは諦めるしかありません。病気に感染した葉や茎、場合によっては株そのものを取り除き、他に被害が及ばない様に焼却処分にした方が良いでしょう。容は予防が一番大事だという事です。
野菜の病気の種類の見分け方と治療法
野菜に起こる病気には多種に渡ります。発生した症状を良く観察して調べて対処して下さい。前述した通り、病害の原因となる要因にはウィルスによるものと、カビが媒介するものとの2種類が存在します。どの様な病気なのか判別が難しい場合は写真に撮って、同様な症状があるかネットなので調べるか、農家の方など園芸に詳しいひとに尋ねてみると良いでしょう。
野菜に発生する病気の種類
発生時期 | 被害状況 | 防除対策 | |
うどんこ病 |
5~7月 9~10月 |
風に運ばれた胞子が植物に寄生し、うどん粉を塗した様な症状になる病気です。光合成が阻害され、葉から養分を吸収しますので生育不良となります。 | チッソ分の多い肥料を施肥すると発生しやすいので注意。対策としては、発生初期ならばサプロール乳剤を散布。病気が進むと根治は不可能ですので病害部分を除去して処理します。 |
ベト病 |
3~4月 10~11月 |
カビの一種である糸状菌による病気です。作物の葉に黄色い斑点が現れ、次第に葉全体に広がり褐色の病斑になります。 | 対策として、日当たりが悪いのと風通しも悪いと発症しますので、密植を避ける。発生が認められたら早目に病葉を摘み取り処分します。そのまま放置すると翌年の発症の原因となりますので焼却などの処分をします。 |
青枯れ病 |
6~10月 多湿時に発生 |
日中は萎れた状態になり夜になると回復したりを繰り返し、その後萎れたままで枯死してしまう病気。トマト、ナス、ピーマンなどに特にかかりやすい。 | 対策として、水捌けの良い土壌を作る。水やりは控え目にし、高温時は敷き藁などをしてマルチングをする。病気の株は早目に抜き取り処分する。 |
さび病 |
4~10月 | ベト病と同様糸状菌による感染で起こる病気です。野菜の葉にサビが浮いた様な斑点が広がり生育を阻害します。 | 対策として、初期の状態のうちにマンネブダイセン水和剤を1週おきに2~3回散布すると被害の広がりを防ぎます。病害の株は早目に抜き取り処分します。 |
灰色かび病 |
4~7月 10~11月 |
葉や茎が灰色のカビに覆われてしまい、進行すると葉茎が溶ける様に腐ってしまう病気。ボトリチス菌が病原菌で、ボトリチス病とも呼ばれます。 | 対策として、湿度を好むので水のやり過ぎに注意。風通しの良い場所を選ぶ。予防にはベンレート水和剤などを1週間に1度程度定期的に散布する。 |
萎ちょう病 |
5~10月 | 土中にある糸状菌によって導管部が侵され、葉などが萎れた状態となり、進行すると株全体が萎れ枯死してしまう病気。土壌から根に感染する病気です。茎の中が茶色く変色しています。 | 対策として、植え付け前に土壌消毒をしておくと予防の効果があります。病気の発生が確認できたら、株ごと引き抜いて焼却処分をします。 |
ウィルス病 モザイク病 |
通年 害虫の発生時期 |
微生物が植物の細胞内に侵入して発症する病気です。種類によって呼び名が変りますが、葉にモザイク状の模様が出るものを「モザイク病」と呼びます。アブラムシなどの害虫によって媒介されます。 | 対策として、害虫の駆除を頻繁に行いましょう。発症したら根治するのは困難ですので、株全体を引き抜き処分します。園芸用具から感染することもありますので、消毒殺菌して使用する様にします。薬剤はベンレート水和剤が有効です。 |
菌核病 | 3~11月 | 糸状菌によって葉茎の枝分かれしている部分に発生し、その部分が軟化して、その上部が最初褐色から黒色に変色して枯れてしまう病気。 | 対策として、菌は土中に長期間留まり生き続けますので、連作をしてはいけません。また、土を良く天地返しをして菌を深く埋め込んでしまうと予防効果があります。発症初期でしたらベンレート水和剤を定期的に散布します。 |
炭素病 | 春・秋 | 主に葉に発生するのですが、トマトなどは実にも発生します。黒褐色の斑点が次第に大きく広がり淡褐色から灰白色の大きな病斑になり葉先が枯れてしまう病気。 | 対策として、風通しの良い場所を選び、枝などが混みあっていたら選定します。発生した部分は早目に切り取り焼却処分します。水やりの際、葉裏などに水の撥ねかえりが掛からない様にします。ジマンダイセン水和剤の定期的散布が有効。 |
軟腐病 | 6~10月 | どの野菜にも発生しますが、主にハクサイ、キャベツなどの結球する野菜に発生する病気。土中の細菌が傷口まどから侵入して、地際の部分が腐り始め異臭を放ちます。 | 高温多湿状態で発生します。対策として、水捌けの良い土壌にし、頻繁な水やりは控えましょう。薬剤での治癒は不可能ですので、病気の株は抜き取り焼却処分します。発症初期であればバイオキーパー水和剤の定期的散布が有効です。 |
根コブ病 | 5~10月 | アブラナ科の野菜に主に発生します。土中に潜む病原菌が植物の根に感染し、根全体に大小様々なコブを作り増殖して、進行すると枯死させてしまう病気。 | 対策として、水捌けの良い土壌にして、石灰を施して土壌の酸度を中性にしておくと発生を防ぐことができます。土壌消毒剤を種蒔時に使用しておくと有効です。 |
まとめ
野菜の病気は風通しが悪かったり、湿気が有りすぎる土壌であるとか、土中に菌類が潜んでいたりすると発生し、急激に被害が広まります。野菜作りには水捌けの良い土壌の改良や、日当たりや風通しなどの環境を整え、周りの除草や追肥などもしっかりと行います。野菜を植栽したら放りっぱなしにしないで、こまめに野菜の生育状態を良く観察して異常などを見つけたら早目に対処する様にしましょう。