植物にとって「堆肥」って何?種類や作り方をご紹介
2019.11.05
堆肥とは、植物を育てる土壌作りに大いに貢献するものです。いわゆる土壌改良剤の役割をするものです。コンテナやプランターでは市販の園芸用培養土があるので手軽に利用できますが、広範な畑などに地植えで野菜などの植物を元気に生育させるには、相応の土壌作りをまずしなければなりません。その為に堆肥が重要な役目を担ってくる訳ですが、では、堆肥って何でしょう。また種類や作り方などをご紹介します。
堆肥って何?
堆肥の作り方としては、樹木の落ち葉や木屑、鶏、牛、馬などの糞、野菜屑、食物残渣などの有機物を原材料にして土に混ぜ込みます。土中にはいろいろな微生物が安定的に存在しています。
その微生物によって有機材料が分解され、発酵して「有機質堆肥」に生まれ変わります。また、土中に生息しているミミズは食物の残りなどを食べて微生物を大量に含んだ糞を出して堆肥作りの役目をします。
植物の生育には土台となる土壌の良し悪しが基本条件となります。空気や水分、栄養となる肥料分などが堆肥によって、通気性が良く、水分の保有にも役立ち、適度にふんわりとした土壌に整える役割をするものですから、良好な農作物などを生育させるためには堆肥作りを先決にする事が大切です。
堆肥と肥料はどう違う?
堆肥は畑作りをする上で、植物を丈夫に生育させるための土壌を改良する役割をするものですが肥料ではありません。堆肥は肥料の元となる成分を含んではいますが、法令で定められている肥料とされる目安の含有量は満たしていないのです。
完熟した堆肥を肥料として植物に与えても、植物はその堆肥を有効な肥料分として取り込むことはできません。
土中に混ぜ込まれた有機材料が、微生物によって分解され良好な土壌となることで、植物は生育しやすくなり、肥料を施肥した場合でも栄養分を吸収しやすくなるのです。
堆肥に対して肥料とは、植物などに直接的に働く栄養素となるもので、一般に二つの種類分けられます。一つは米ぬかや油粕を原料とする「植物性」と骨粉や鶏糞などが原料の「動物性」などの「有機質肥料」。一つは科学物質を合成して作られた「化成肥料」です。
どちらも植物が生育していく上で必要と定義づけされている、チッソ(N:葉肥え)、リン酸(P:実肥え)、カリウム(K:根肥え)の三要素に、石灰(Ca)、苦土(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ酸(Si)、ホウ素(B)を加えたもので、農水省の肥料取締法によって一定の量を満たしたものと定められています。
堆肥の種類
堆肥にも有機質肥料と同様「植物性堆肥」と「動物性堆肥」に別けられます。主原料の成分によってそれぞれに特性があり、使い方のポイントを挙げてみました。
堆肥の種類①植物性堆肥
腐葉土堆肥
作り方は、広葉落葉樹などの落ち葉を集め米ぬかなどを混ぜて発酵させて作ります。通気性や保水性に高い効果があり、暑い時期や寒い時期などのマルチングにも利用できます。
ワラ堆肥
作り方は、稲ワラを細かく裁断し山積みにして発酵させて作る堆肥です。炭素分が多く窒素(チッソ)が少ないためにそのままでは発酵させにくいので、米ヌカかアルカリ性の消石灰か硫安を加えて分解を促進させます。多くのワラ屑を必要とし、発酵を進めやすくするために2~3回切り返しを行い、空気を入れる作業が必要です。
モミガラ堆肥
作り方は、精米の折に出る籾殻(モミガラ)を多く集めて作ります。モミガラだけでは窒素(チッソ)分が少ないために発酵できませんので、米ぬかと鶏糞などを混ぜ込みます。粘土質などで水捌けの悪い土壌に効果を発揮します。
バーク堆肥
作り方の原料は、樹皮を細かく粉砕したものです。炭素分が多く含まれていますので、微生物を増やす糖質やタンパク質を含む米ヌカや、リン酸を多く含む鶏糞を加えて発酵させて作ります。フミン酸という成分によって保水性や保肥性を高めてくれる効果があります。土壌の上に被せるマルチングにも利用できます。
堆肥の種類②動物性堆肥
動物性と言われる堆肥の作り方は、動物の糞(フン)などを主原料として作られるものです。市販されているものはサラサラした湿り気も臭いもなく完熟したもので、植物の生育に必要な栄養分も多少は含まれています。
鶏フン堆肥
鶏フンを発酵させた作り方の堆肥というよりも、肥料三要素の他の微量要素も含んでいますので肥料効果が高いものです。量や土壌に混ぜ込むタイミングを間違うと却って植物の根などを弱らせてしまう恐れがありますので、用量、用法を良く確認する必要があります。
牛・馬フン堆肥
作り方としては、牧場などで飼育されている牛や馬の糞(フン)にワラ屑やオガ屑を混ぜ合わせ、何度も切り返しをして発酵させ熟成させて作る堆肥です。餌による植物性繊維が多く含まれていますので、植物性堆肥と同様、通気性、保水性に富んだ土壌を生成します。市販されているものには、臭いなどもほとんど気にならない乾燥した製品となっています。
堆肥の種類③生ゴミを利用した堆肥
生ゴミ堆肥
作り方は、家庭から排出される生ゴミを主な原材料として堆肥を作ります。コンポストや庭に穴を掘って生ゴミを入れ、米ぬかや乾燥させた落葉などを加えて分解、発酵させて堆肥を作ります。
堆肥の作り方
園芸店やホームセンターなどでは、手軽に完熟した堆肥を購入できます。小規模の家庭菜園やプランターなどで植物を生育させるには手間いらずで土壌作りができます。自分で堆肥を作ってみたいという方向けに堆肥の作り方をご紹介します。動物性堆肥など個人ではなかなか原材料が手に入り難いものを除いて、周囲にあって手軽に手に入る材料を用いての堆肥作りにチャレンジしてみましょう。
腐葉土堆肥
腐葉土堆肥は広葉樹の落ち葉が多めに用意できれば容易に作ることができる、作り方としては、一番ポピュラーな堆肥といえるでしょう。
①庭か畑に集めた落葉を入れる適当な穴を掘ります。
②40~50cmほど落ち葉を入れたら米ぬかや鶏糞を万遍なくばら撒きして良く踏みつけてから土を被せて水をかけてブルーシートなどで蔽っておきます。
③1ヶ月程寝かせたら、再度2~3割ほど落葉と米ぬかを加えて2週間寝かせます。
④1~2ヶ月毎に同様の作業を繰り返します。早くて約半年から1年ほどで完熟腐葉土の完成です。
生ゴミ堆肥
生ゴミ堆肥の作り方としては、生ゴミは日常的に家庭から必然的に出てしまう一般廃棄物として処理されます。生ゴミは元々有機物ですので、微生物が分解することによって良質な堆肥が作り出されたりします。一次発酵でアミノ酸や糖分などの物質を1状菌が分解します。1ヶ月ほど経ると2次発酵が進み水と二酸化炭素に分解されます。水分があると嫌な臭いが発生しやすいので乾燥させた落葉などを加えて中和させます。
①庭や畑に掘った穴かコンポストに落葉や枯れ草、米ぬかなどを混ぜたものを厚めに敷いておきます。
②生ゴミを入れ足しながら、その都度土を被せて蓋のできるものかブルーシートなどで蔽っておきます。
③空気を入れるために時折全体を混ぜ合わせます。
④いっぱいになったら半月から1ヶ月ほどで完成です。
※ 熟成させた堆肥は直ぐに使用せずに再び土と良く混ぜて2~3ヶ月ほど寝かせてからにしましょう。
植物の土づくり、土壌改良には植物活力剤・顆粒HB-101
家庭菜園やガーデニングを行う上で、土作りは大切な工程ですよね。
良い土を作る事が、病気や害虫に負けない強い植物や野菜を育てるポイントになります。
私自身が土づくりや土壌改良を行う際に使用しているのが、植物活力剤・顆粒HB-101です。
HB-101は杉、ヒノキ、オオバコ、松などより抽出した、植物栽培のための天然植物活力剤です。植物の栄養素に欠かせない微量要素も含んでいるので植物の成長や土壌微生物の活性化を促すとされています。プロの方々も使っていて、健康な植物作りに抜群の効果を発揮します。
植え替えを行う際にも土づくりに顆粒HB-101を十分に混ぜて植え込みし、HB-101の1,000倍液を毎週一度、使用する事で立派に育てる事ができています。
ぜひ、ご家庭で土づくりや土壌改良を行う際には、植物活力剤・顆粒HB-101を使用してみて下さい。
まとめ
堆肥は土壌の状態をより良いものに活発化させる役割をするものです。植物を正常に生育させるには、土壌の水捌けや空気の取り込みが悪かったりすると、せっかく施肥した肥料の効果も悪くなり、植物の元気な生育に支障をきたすものです。
堆肥が出来るまでと種類や作り方などをご紹介しましたが、小規模の菜園などであれば、市販されている子袋堆肥で用は足りると思いますが、出来ることならばコンポストなどを利用して手軽に自分なりの作り方で堆肥作りを試みてはいかがでしょうか。