アクアリウムにぴったりなヒルギを上手に栽培する育て方のコツをご紹介!

2025.02.04
ヒルギとは、沖縄に自生する樹木の一種のことです。マングローブを形成する種類が多く、日本では沖縄の海に自生するオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギがあります。 専門店や沖縄の海で種を入手することができるヒルギは、アクアリウムとの相性が良い樹木でもあります。比較的育て方も手軽なヒルギですが、適切な育て方をしなければ簡単に枯れてしまいます。 今回は、ヒルギの育て方についてご紹介します。
ヒルギ(マングローブ)の基本情報
ヒルギとは、マングローブを形成する樹木の種類を指します。ヒルギ科に属する種類を差すことが多く、日本にも自生するヒルギがあります。
● オヒルギ
● メヒルギ
● ヤエヤマヒルギ
ヒルギは胎生種子と呼ばれる親木から落ちて、波に運ばれた先で泥に刺さり成長を開始します。塩分に対する耐性を持ち、呼吸根と呼ばれる根を地表から出す姿も特徴です。
マングローブは塩性の湿地に群生することで、余分なリンやカリウムを吸収したり重金属を除去してくれたり、防波堤や海洋生物の住処となる役割があります。水質の浄化作用や防波堤としての役割は、エコの観点からも近年注目が集まっているのです。
アクアリウムとして楽しめるヒルギ
自然豊かな湿地帯で育つイメージがあるヒルギですが、実は適した育て方をすることで家庭でも育てることができます。生育環境さえ整えればペットボトル栽培でも可能なヒルギは、泥や砂利を使ったアクアリウムで育てることがおすすめです。
水槽内にヒルギを植えることで、ミニチュアの南国の海を再現することができます。熱帯魚と一緒の水槽でも栽培することが可能であるため美しい魚とヒルギの共存を楽しむことができます。
ヒルギの育て方
バラやチューリップなどと違い、あまり具体的な育て方が知られていないヒルギですが、比較的育てやすい植物とされています。成長スピードも遅いため、ゆっくりと大きくなる様子を楽しむことができるでしょう。
沖縄に自生するマングローブは暖かい場所を好むため、冬でも15℃以下を下回らない環境での育て方を意識することが大切です。育て方の注意点をきちんと守ることで、ヒルギを枯らすことなく育てることができます。
ここでは、ヒルギの育て方のポイントについて詳しく解説します。
適した生育環境
専門店などで合法的に入手するか拾いに行く必要があるヒルギの種は、下から2〜5cmほど土に埋めて綺麗な水を注ぎ発根させる必要があります。自然界に自生するヒルギと同じように、十分な日光が当たる場所に置きましょう。
日照不足は、生育不良で枯れてしまったり発根が難しくなったりする原因となります。日光が入りにくい位置の部屋で育てる場合は、植物用のLEDライトを導入することがおすすめです。
本来は泥で育つヒルギは赤玉土や蓮を育てるための土などでも育て、土の厚さは必ず5cm以上にすることが大切です。葉が枯れないように、必ず水の上に出します。
水の交換・葉水
ヒルギの育て方の中でも、水の管理は大切です。汚れたままの水の中で育てると、根腐れを起こして枯れてしまう恐れがあります。また、水の入れ過ぎもマングローブにとって良くありません。
水は、週に1回は交換することがおすすめです。
水槽で育てる場合は酸素ポンプを導入すると、根に十分な酸素が行き渡りやすくなります。1日に1回から2回程度葉水を行うことで、葉を清潔に保てるためカイガラムシの予防になります。排出された塩分は葉の表面に溜まるため、見つけ次第ぬるま湯を含ませた柔らかい布で取り除きましょう。
剪定
ヒルギは、適した育て方をした場合でも剪定をそれほど必要としません。成長スピードもゆっくりとしているため、1年で増えた葉は4枚だけという場合もあります。
剪定が必要かどうかを気にするよりも、剪定が必要になるほど大きくすることを意識する方が楽しくお世話をすることができるでしょう。
肥料
ヒルギは、それほど肥料を必要としない植物です。少なくとも種を植えて2年は、種の中にある栄養で成長するため肥料は不要の育て方になります。
ヒルギは尿素を好むため、肥料はかなり希釈した窒素肥料を与えると良いでしょう。アクアリウムで栽培をしていて魚やエビなどの生物が水中にいる場合は糞が肥料の代わりとなります。
害虫・病気
比較的育てやすいヒルギは、カイガラムシがつきやすい傾向にあります。カイガラムシは葉や枝についたホコリや汚れをこまめに清掃することで予防することができます。乾燥を防ぐためにもこまめに葉水を行ったり、カイガラムシの幼虫がいないかこまめにチェックをしたりすることがおすすめです。
魚を飼育していない場合は薬剤を使って予防することができる一方で、飼育している場合は完全無農薬の育て方をすることがおすすめです。もしカイガラムシの幼虫を見つけた時は、歯ブラシで優しくこすり落として駆除しましょう。
植え替え
ヒルギは植え替えを非常に嫌うため、基本的に根鉢を崩しての植え替えは厳禁となります。種を植える際は、植え替えする必要のない鉢植えや水槽をよく吟味して選ぶことが大切です。
特にヒルギの種を何度も抜いたり差したり、株を植え替えたりする育ち方をすると高確率で枯れてしまうため要注意です。
ヒルギは海水と淡水どちらで育てるべき?
ヒルギを育てる際、淡水での育て方をした方が良いのか海水での育て方をした方が良いのかと思う人もいるでしょう。ヒルギの中でも、オヒルギとメヒルギは淡水で育てることができます。
ヤエヤマヒルギも淡水で育てることができる一方で、海水を好む傾向があるため発芽までは1.4%、発芽後は1%程度の濃度に塩分を調整した水で育てることがおすすめです。
まとめ
ヒルギは大きくなるまで非常に時間がかかり、大きくするためには水温や室温の管理にも注意が必要です。種子は保存することができますが、保存期間が長くなるほど発芽率が下がってくるため手に入れてすぐに泥に植えることがおすすめです。
急激な塩分の反動もヒルギは苦手です。成長したヒルギは花が咲くため、適切な育て方をすることで自宅で幻想的な姿を楽しみましょう。