夏を彩る気品あふれる花、キキョウのご紹介
2022.09.13
キキョウは古くから日本でも自生し、花の美しさから、園芸用としてもたくさんの品種が作られていました。現在は自生するものは絶滅危惧種となっていますが、いくつもの改良された育てやすい園芸品種が出ています。多年草なので根付けば毎年、楽しむことができる植物です。この記事では、夏を彩るキキョウの花についてご紹介します。
キキョウってどんな花?様々な種類のご紹介
キキョウはキキョウ科キキョウ属の多年草です。キキョウは日当たりの良い草原などに多く見られます。元々は日本を始めとする東アジアに広く分布する植物でした。しかし日本ではそのような場所が少なくなってしまったため、いまでは自生するものとしては、絶滅危惧種に指定されています。茎はまっすぐ伸びて高さが10~120cmと個体差がある花です。茎の先に5~7cm程度の花を、多い物で10輪程度咲かせます。根はまっすぐに伸びて、小型のにんじんのような形をしており、漢方薬としても利用されています。かわいらしい紙風船のようなつぼみと美しい青紫の星の形をした花が特徴です。キキョウの開花時期は5月中旬~9月までです。夏の暑い盛りに、一服の清涼剤として楽しむことができます。なお、真夏日でも美しい花を咲かせる生命力があり、-10度でも影響を受けない、とても丈夫な植物ですので、ポイントを押さえれば自宅でも初めての方でも栽培が可能です。
キキョウには種類があるの?
現在、キキョウとして栽培されているものは細かく分けると4000種ほども種類があります。色も青紫以外にも白やピンク、また一重咲きの他、八重咲きの品種などもあり、多種多様です。育て方や適した環境も違ってくるので、購入前によく確認した方が良いでしょう。園芸用として代表的な種類をご紹介します。
・アポイギキョウ:北海道のアポイ岳を原産とする背丈の小さいキキョウです。涼しい環境を好み、色や咲き方もいろいろです。
・五月雨:5月から咲き始める早咲きのキキョウです。梅雨時期に開花することから五月雨と名付けられました。白やピンク、紋入りの種類があります。
・小町:キキョウは紙風船のようにふくらんだつぼみが裂けて開花しますが、小町はつぼみの状態のままが開花になります。かわいらしい姿を長く楽しむことができるのが人気の種類です。色は白と紫があります。
キキョウの歴史。古くから愛された花の魅力
キキョウは古くから、その美しい花が愛されていました。万葉集にもすでにキキョウの花は詠まれているほどです。かなり早くから園芸品種が作られていて、1694年に刊行された本にすでに何種類も品種があることをうかがわせる記述があります。またその後も1853年に刊行された植物図鑑にも、現在には存在しない品種が図解付きで掲載されていました。人々に愛される花は、武士の世界では家紋としてもよく使われていました。「桔梗」と漢字で書くと「更に吉」と連想されるため、という説もあります。明智光秀や坂本龍馬なども家紋として用いていました。ただ、明智光秀が水色の桔梗紋を使っていたため、本能寺の変以降は裏切りの紋として使われなくなってきました。織田信長の子孫は、キキョウの花を飾らなくなったとも言われています。その他、星形の花の形が五芒星に似ていることから、あの安倍晴明も家紋として用いるほか、自宅の庭にもたくさんのキキョウを植えていたようです。現在では、キキョウは観賞用としてはもちろんですが、秋の七草のひとつとして、広く親しまれています。
キキョウの育て方。初心者向けって本当?
キキョウはとても強い植物なので、あまり植物を育てたことのない方にもおすすめです。種からでも苗からでも育てることができますが、これから始める場合は、苗から始めた方がその年から花を多く楽しむことが可能です。
種まき
種から育てる場合、4月上旬頃までに種まき専用の土に種を蒔きます。巻き終わったら土を薄くかぶせ、芽が出るまで土が乾かないようにします。サランラップなど上にかぶせると、水の蒸発を防げる上、地温が上がるので発芽がしやすくなります。水をかける場合は上からかけると種が流れてしまうので、霧吹きでかけるか、下からすわせるようにしましょう。
植え付け
キキョウは直根と呼ばれる、まっすぐに伸びた根を持つのが特徴です。植え付けの際に根を傷つけてしまうと枯れてしまうので、本来は植え替えを嫌います。苗を植え付ける場合は、根を傷つけないように気をつけましょう。
剪定・水やり
開花期間中の夏の間は、花が終わったら茎は半分ぐらいの丈に切る剪定を行います。切るときには、葉が出ている1cmぐらい上を切るように剪定すると秋にまた花をつけます。なお、キキョウは茎を切ると白い液が出てきますが、触るとかぶれる方もいるので注意が必要です。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりとあげるようにしてください。地植えの場合、あまり神経質になる必要はありませんが、晴れの日が続いた時などに与えるようにすると良いでしょう。
越冬
キキョウは宿根草なので、冬は地上に出ている部分はなくなります。花が終わった秋以降、自然に地上部分は枯れてしまいます。耐寒性は強いので、そのままでも越冬はできますが、あまり寒さが強く霜が発生するようであれば、上から腐葉土を多めにかぶせて対策をします。冬の間、地上部分は枯れていますが、根は生きているので、土が乾いたら水をあげるのは忘れないようにしましょう。なお、株分けしたい時は、地上部が枯れている冬の間、3月頃までに行います。4月頃になると、また芽が出てきます。
キキョウの花言葉。そこにある悲しい物語
キキョウの花言葉は「永遠の愛」「気品」「変わらぬ愛」「誠実」です。花言葉の由来には、戦いに向かった男性の帰りを待ち続けた若い女性の名前が「桔梗」だったとか、その女性の家紋が桔梗紋だったなどの説があるようです。また色によって花言葉にも違いがあります。
・紫の桔梗・・・「気品」
・白の桔梗・・・「清楚」
・ピンク・・・「幸薄」
ピンクのキキョウには幸薄という花言葉がつけられていますので、贈り物にする際などには注意をした方が良いかもしれません。
肥料のいらない肥沃な土壌に!顆粒HB-101
キキョウは基本的に多くの肥料を必要としない植物です。ですので、植え付け前の元肥の段階で栄養が豊富な土壌にしておくことが大切です。手軽に適した土壌にするのには、顆粒HB-101が効果的です。使い方は、定植前の土壌にひとつまみ、顆粒HB-101を入れるだけです。HB-101を混ぜ込んだ土壌は、微生物に酸素を供給する「サポニン様物質」がたっぷり入っています。 有益菌と無害菌それぞれの微生物の働きにより適度の水分と空気が含まれた、植物が育ちやすい土壌になるのです。
まとめ
今回は、暑い夏にさわやかな清涼剤ともなるキキョウの花について、ご紹介しました。自生するものとしては絶滅危惧種になってはいますが、園芸用としては初心者の方でも比較的育てやすい、丈夫な植物であることが分かったと思います。好みの種類を見つけて、そのつぼみのかわいらしさとその後の花の美しさを存分に味わってみてはいかがでしょうか。