植物ウイルスって何?人にも感染するの?どんな症状?
2023.06.13
植物を育てる時にうまく育たなかったり、枯れてしまったり、色々なトラブルが良くあります。そんな時、お世話が良くなかったのかなと思っていましたが、もしかすると植物ウイルスが原因だったかもしれません。植物ウイルスとは、ウイルスに感染した植物の病気です。人もウイスルに感染しますが、植物が感染するウイルスとは違う為、植物から人や動物に感染したと言う例はまだ報告されていないようです。植物ウイルスは世界中で700種類以上あると言われています。昆虫類がウイルスを運ぶこともあり、ウイルスに感染しない植物はまず無いとされていて突発的に発生する事が多いとされています。特にイネや柑橘類などで感染が広がると重大な影響を与える被害が起こる事があります。大切に育てた植物が植物ウイルスに感染して気づくのが遅いと周りにも感染して被害が拡大してしまう。そんな植物ウイルスとはどんなものなのかを調べてみました。
植物ウイルスとは
植物ウイルスの基本情報
植物ウイルスとは植物に感染するウイルスのことを言います。世界では700種類以上報告されていて、日本では200種類以上が報告されています。ほとんどの植物で感染しない物はないと言われているようです。ウイルスによって起こる病気は突発的に発生する事が多く報告されていて、感染が広がると経済などにも重大な影響を及ぼす事もあります。
カビやウイルス、細菌などの様々な病原体によって感染し、きのこなどの菌類や藻類などにも感染します。植物ウイルスは形や大きさ、宿主範囲と病徴や伝染方法、核酸の性状などから数百種類に定めされていて、それらを更に約30グループに分類されて登録されています。
植物ウイルスの主な種類
『菌媒介性(きんばいかいせい)ウイルス病』
土壌伝染性のウイルス病の中で、菌類によって媒介されるウイルス病の事を言います。
日本では土壌伝染性ウイルスとして14種類が報告されているようです。
土壌が感染源となると、その土壌では数年間以上に渡り病原力を維持する事もあるようです・
『中媒性(ちゅうばいせい)ウイルス病』
昆虫やダニなどがウイルスを媒介して発症するウイルス病の事を言います。植物ウイルスに触れた昆虫が次の植物に移り感染させたり、体内でウイルスを保持または増殖させたりして植物に感染させる事を言います。
『ウイルス性媒介線虫』
植物病原ウイルスを媒介する線虫の事をいいます。
線虫の表面にウイルスが付着して、線虫は植物の樹液などを吸う際に植物に感染させます。
植物ウイルスの症状について
植物ウイルスによって起こる病気はウイルスの種類によってさまざまですが、葉に起こるモザイク病や黄色に変色するもの、壊死するもの、葉がまいてしまうもの、縮んだようになってしまうもの、奇形になるものなどがあります。また生育途中に感染してしまった場合、植物の体内でウイルスが増殖しそれが原因で成長に影響を及ぼし、正常に成長できなくなってしまいます。
植物ウイルスの症状の一つモザイク病は、花に鮮明なモザイクの模様や葉に黄色いモザイクのような模様が出てきます。その植物の実に感染すると、凹凸や変形の症状が現れたり、実の中の変色が見られたりします。
葉が黄色く変色しても、ただ枯れているのか植物ウイルスに感染したのかわからない場合は、すぐにその部分を取り除き処分をして、念の為に使ったはさみや道具などの消毒をお勧めします。
植物ウイルスの感染について
植物ウイルスの感染経路について
ウイルスの90%以上が昆虫や土壌中の線虫や菌類によって媒介されるとされています。
アブラムシやヨコバイ、ウンカ類などは植物の樹液を吸収する際に、植物ウイルスが口針に付着させ、そのまま次の植物の樹液を吸う事で伝染させます。
野菜や花などでよく見られるアブラムシも同じように伝染させるので注意が必要です。
足や身体にウイルスが付着して、次の植物にウイルスを伝染させる場合もあります。また、媒介昆虫の体内でウイルスが増殖し、そのままウイルスを媒介し続ける昆虫もいます。その卵にも90%の確率でウイルスが保持されるものがある為、一度大発生するとウイルスの感染を予防する事や排除する事が困難になってきます。
土壌生息菌での感染するオオムギ縦萎縮ウイルスやメロン斑点ウイルスなどは菌体内でウイルスが数年間維持され、こちらも予防する事や排除する事が困難とされています。
株分けや作物の種や挿し木などでもウイルスをそのまま受け継ぐ為、感染が広がりやすくなってしまいます。感染した植物に触れた衣服やハサミなども感染が広がる要因の一つになっています。
感染に気付いたら
家庭菜園でウイルスによる症状を見つけたら、直ちに抜き取り処分をして下さい。軽度の場合は気づかない事も多くあるので、日ごろから植物をよく観察して異常がないか確認をしましょう。
植物ウイルスの予防について
植物ウイルスの感染予防として、感染経路となる害虫の予防や駆除、ハサミなどの消毒を心がけるなど、感染予防に努める事が大切になってきます。
ワクチンについて
植物ウイルスに対してのワクチンですが、ピーマンのモザイク病を予防する植物ウイルスワクチンが開発されて生物農薬として登録されているようです。
植物ウイルスは人にも感染する?
1960年代にタバコモザイクウイルスが喫煙者に対して肺がんを誘発するとの論文が発表されているようですが、結論がいまだに出ていないようです。色々な研究もされているようですが、人と植物が感染するウイルスは基本構造・病原体の違い、宿主の防御反応の違い、病原体の感染形態などの違いがいくつかあり、人と植物に対してのウイルスはそれぞれの特有な性質がある為、共通の病気はない、感染の可能性はないとされているようです。
まとめ
家庭菜園やガーデニングを始める時に、面倒でも使ったハサミの消毒をしましょうと読んだ本などに書いてあり「そこまで気を付けなくても」と正直思っていましたが、植物ウイルスの事を調べているうちに、植物ウイルスによって家庭菜園などで数か月かけて育てた野菜が全滅してしまう可能性がある事を知り、気を付ける事は大切な事と気づかされました。その度の消毒が面倒なら、今は100円ショップでもガーデニング用のハサミが手に入るので、植物ごとにハサミを用意するのも一つの手かもしれません。植物ウイルスが衣服について伝染してしまうなら、手についても同じ事なので、使い捨てのビニール手袋を使う事などもいいかもしれません。感染した植物を抜き取ればいいだけならいいのですが、植物ウイルスが土中に残って次の植物に感染させてしまう可能性もあるようなので、感染を出来るだけ防ぎ、感染させないようにする事が大切になってきます。感染を見つけたら速攻処分も大切ですね。